S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
すると堅焼き麺の上にたっぷりとかけられていた海鮮のあんかけが、麺の表面をとろとろと滑って皿の上へ滴り落ちる。
「黄色……ひよことかか?」
「いえ、ひよこはないです」
「違うのかよ」
和季の問いかけをきっぱり否定すると、唇を尖らせた彼が「俺だってふわふわしてて可愛いだろ」と文句を言う。
自信ありげに謎の主張をする和季にまた笑ってしまう紗夜だが、実際、和季に対して可愛らしさを感じたことはない。
その代わり、別の魅力はたくさん感じている。
「名字が『あかり』っていうのもありますけど、いつもきらきら輝いていて、みんなから注目を浴びて、そのぶん周りの人を元気にできるパワーがあります。黄色はそういうイメージがあるので、明里先輩っぽいなぁって」
細身でありながら骨格がしっかりとしていることから、外見の印象だけなら黒色や灰色のモノトーン、青色や紺色のような深い寒色系がよく似合う気がする。
だが和季と話をしてみると、明るさやパワーを秘めた黄色や橙色、金色といった輝きに溢れる色彩の印象も抱く。
それはひとえに、彼自身が常に眩しいほどの魅力を放っているからだろう。
「そんなこと、はじめて言われたな」
「そうですか?」
紗夜の意見を聞いた和季が、少し赤くなった顔を隠すよう左手で口元を覆いながら、ふい、と視線を逸らす。