S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
ちなみに莉乃はお弁当ではなく、カフェで買ったベーグルサンドと豆乳飲料が昼食らしい。莉乃が生ハムとレタスとクリームチーズを挟んだベーグルをもぐもぐ食べる様子を見つめながら『あまり過剰反応しないように気をつけよ……』と固く決意する。
そう、数週間前までは完全なタブーだった〝社内恋愛〟だが、常務取締役に就任した和季が社内規定を変えたことで、現在は自由にしてよいと認められることとなった。
むろん就業時間内に仕事と関係のないやりとりや行為に熱中することはご法度だが、業務に支障をきたしたり法に触れるようなことさえなければ、社員同士の自由な恋愛が可能となったのだ。
今後はこれが普通になるのだから、『社内恋愛』の一言にあまりオーバーリアクションすべきではない。
そう考えながら顔を上げて、何気なく周囲に視線を巡らせてみた紗夜は、ふとこれまでのルミリュクスとは雰囲気が変化していることに気がついた。
一見するとのどかで平和ないつものオープンラウンジである。しかし一部に漂っている空気感が、以前とは明らかに異なっている。
――そう、男女のペアが多いのだ。
「そういえば、カップル増えたよね?」
「そりゃそうでしょ」
紗夜が声のトーンを落として訊ねると、豆乳飲料を啜るストローから唇を離した莉乃が、若干呆れたような表情を向けてきた。