S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
莉乃がくすくすと笑いながら、けれど本人たちには気づかれないよう、指先や視線のちょっとした動きだけで紗夜に『真実』を教えてくれる。
その衝撃的な暴露につい声が裏返ると、莉乃がウィンクを送ってくる。
「上司や先輩に目をつけられたくないから、一応は秘密にしてたみたいだけどね」
「そ……そっかぁ……」
さすがは情報通の莉乃だ。実際は最近急にカップルができたのではなく、これまで秘密の交際だったものが可視化できるようになっただけ、ということだが、それにしてもみんなが秘密にしていたことを普通に知っているのがすごい。
経理課という業務上、どこの部署ともそれなりに繋がりのあるはずの紗夜は、まったく知らなかったのに。
(もしかして、莉乃ちゃんにはバレて……?)
一瞬、実は和季との交際も莉乃に知られていたのでは、と感じた。
だが友人である紗夜に対してなにか疑問を感じることがあるのなら、勘づいた時点で直接本人に聞いてくるはずだ。彼女はそういう性格だ。
それがなかったということは、きっと大丈夫だったのだろう……と思いつつ、それでも少しドキドキしてしまう紗夜である。
「紗夜は、社内に誰か気になる人いないの?」
「……え?」