S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる
半径2メートルの波紋
急に背後から現れて紗夜の顔を覗き込んできた陽太を、目を見開いたまま凝視してしまう。
そのびっくり顔が面白かったのか、紗夜の表情を確認した陽太がにこにこと微笑みながら、自身の指で自らの頬を指し示してきた。
「俺、いまフリーだけど、どう?」
「え? えっと……」
「いやいやいや、ちょい待ち」
陽太の問いかけにぱちぱちと瞬きを繰り返していると、目の前の莉乃が片手を上げながら会話に割り入ってきた。
「瀬戸はダメでしょ」
不満げな表情で文句を言う莉乃に、陽太がそれ以上の不満顔を見せる。
「なんだよ、西島。俺はお前じゃなくて、深田を誘ってんの」
「いや、あんたチャラすぎるのよ。紗夜を毒牙にかけようとしないで」
「毒牙って……ひどい言われよう……」
莉乃の指摘に陽太が困ったような表情で身を竦めるが、その辛辣な意見に対して本当に傷ついているような様子はない。
それどころか紗夜と莉乃の顔を交互に見つめると、ふっと表情をゆるめて再びにこにこと笑い始める。『チャラすぎ』の部分を否定しないあたり、陽太本人にも自覚があるのかもしれない。
「そういえば同期だけど、俺、深田と西島の連絡先は知らないな」
「そういえばそうだね」
「はい、じゃあ交換」
紗夜が陽太に同意するよう頷くと、ポケットから青いケースのスマートフォンを取り出した陽太が、連絡先の交換を提案してくる。