S系策士に豹変した元恋人御曹司の独占愛が甘すぎる

 同僚が「瀬戸くんは忙しいときでも笑顔だから、声をかけやすいよね」「意外と力もあるし、困ってるときはさり気なく手を貸してくれるから、ほんと助かる」と話しているのも聞いたことがある。

 そんな陽太に笑顔を向けられた紗夜は、ふと『きっと瀬戸くんは異性からモテるんだろうなぁ』などと考える。

 人生で恋人がいた期間はたった数か月、しかもその相手はわが社の御曹司、という人には言えない恋愛経験しかない紗夜とは大違いだ。

 と、自分で気づいた事実に自分で項垂れていると、連絡先の登録を終えた陽太が再び紗夜の顔を覗き込んできた。

「深田、今日ってなんか予定ある?」
「え……?」

 陽太の質問に小首を傾げる。

 今日の予定、を頭の中に思い浮かべる。

「えっと、経費処理が今のところ七件と、名古屋倉庫の岩上さんとオンラインで打ち合わせがあるのと、備品の補充をしておきたいのと……」
「違う違う、仕事の話じゃなくて」

 指を折りながら午後からやらなければいけないこととやっておきたいことを数えていくが、それを聞いていた陽太に途中で話を遮られる。

 てっきり仕事の話、たとえば経費の精算に必要な書類や領収書についてわからないことがあるとか、出張費に含まれる範囲について聞きたいことがあるとか、そういう話をされるのだと思った。

 だが違ったらしい。

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