マッチングした相手は片想いの社長でした
「うん、ありがとう」

私が手を振る。

涼太君も帰ろうとした。

けれど――。なぜか彼は足を止めた。

「涼太君?」

振り返った涼太君が、じっと私を見つめる。

いつもの笑顔がない。

どうしたのだろう。

そう思った瞬間、腕を引かれた。

「えっ――」

身体が涼太君の胸元へ引き寄せられる。

驚いて顔を上げた瞬間。

額に柔らかな感触が触れた。

キス……?一瞬のことだった。

唇ではない。

ただ額に触れただけ。

それなのに心臓が大きく跳ねた。

「涼太君……」

彼は何も言わなかった。

ただ、少し困ったように笑っただけ。

「またな」

それだけ言って、今度こそ背中を向ける。
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