マッチングした相手は片想いの社長でした
そう言って歩き出す。

てっきり、このまま会社を出るのだと思った。

ところが――。

「え? 春樹さん?」

春樹さんはオフィスへ戻っていく。

中では涼太君が一人でパソコンに向かっていた。

「うーん……」

椅子に座ったまま大きく背伸びをしている。

私たちが戻ってきたことに気づき、涼太君が目を丸くした。

「社長……那奈」

春樹さんは涼太君の隣まで歩いていく。

「疲れただろ」

「え?」

そして、そのまま隣の椅子を引いた。

「どこをやるか教えろ」

「俺はいいんで行って下さい」

涼太君が戸惑う。

私も驚いて春樹さんを見つめた。

だって今日は、私と過ごすために残業禁止って言ってくれたのに。
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