マッチングした相手は片想いの社長でした
見るからに高級そうだ。

エレベーターが到着し、二人で乗り込む。

春樹さんが階数ボタンへ手を伸ばした。

押したのは――最上階。

「最上階に住んでるの?」

「大した事ないよ」

「大した事あるよ」

思わず春樹さんの手を握る。

「そんな事ない。すごいよ」

会社を継いだだけじゃない。

春樹さんはずっと努力している。

取締役たちに若造だと思われないように。

社員たちの生活を守るために。

そんな春樹さんだから、今の生活があるのだと思う。

エレベーターが最上階へ到着した。

静かな廊下を歩き、一つの玄関の前で春樹さんが止まる。

鍵を取り出すのかと思ったら、玄関脇のパネルへ数字を入力した。

「鍵いらないんだ」

「セキュリティーは万全だよ」
< 123 / 295 >

この作品をシェア

pagetop