マッチングした相手は片想いの社長でした
「ワインが趣味なんだよ」

「へえ……」

中にはたくさんのボトルが並んでいる。

「春樹さんってすごい」

「何が?」

「だって仕事もできて、こんな部屋に住んで、趣味まで大人っぽくて」

春樹さんが私の前まで戻ってきた。

その手が、そっと私の頬に触れる。

そして唇が重なった。

優しいキス。

「俺は普通の男だよ」

「ううん」

私は首を振った。

「努力してる結果だよ」

「那奈……」

「私は知ってるから」

取締役会のことで悩んでいた春樹さん。

弱いところなんて見せたくないはずなのに、私には見せてくれた。

だから分かる。

春樹さんが何もしないでここにいるわけじゃない。

「春樹さん、頑張ってるもん」

私は春樹さんに抱きついた。
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