マッチングした相手は片想いの社長でした
私を見ながら笑う春樹さん。

もっと知りたい。

この人のことを、もっと。

「お腹いっぱい」

食事を終えて満足していると、春樹さんが立ち上がった。

そして私へ手を差し出す。

「那奈、踊ろう」

「え?」

「いいから」

「踊れないよ、私」

「俺に合わせればいい」

春樹さんの手を取る。

リビングで二人、ゆっくり身体を揺らした。

「ふふ、楽しい」

「俺もだよ」

何をしているんだろう。

そう思うのに、笑いが止まらない。

やがて春樹さんの腕が私の身体を包んだ。

胸に抱きしめられる。

「これからも一緒にいて欲しい」

その声が、すぐ近くから聞こえた。

「うん」

私は迷わず答えた。
< 128 / 295 >

この作品をシェア

pagetop