マッチングした相手は片想いの社長でした
私も美里さんを見る。

「後悔するわよ」

静かな声だった。

けれど、その言葉は明らかに春樹さんへ向けられていた。

「後悔なんてしないさ」

春樹さんは即答した。

美里さんは何も言わず、社長室を出ていった。

扉が閉まる。

二人きりになった社長室で、私は緊張しながら春樹さんを見る。

「さて」

春樹さんが椅子から立ち上がった。

「那奈には一から教えないとな」

「はい。お願いします、社長」

そう答えると、春樹さんが手を差し出した。

「おいで、那奈」

「はい、社長」

近づいた瞬間、腕を掴まれた。

「え?」

そのまま引き寄せられ、胸の中に閉じ込められる。

「あの……社長」

「社長じゃない」

耳元で囁かれて、心臓が跳ねた。

仕事中なのに。
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