マッチングした相手は片想いの社長でした
私は春樹さんの腕を掴んだ。

「ありがとう」

嬉しい。

大好きな人が私のために選んでくれた。

それは本当に嬉しい。

だけど――。

会社へ戻ってからも、胸の奥の引っかかりは消えなかった。

休憩室で一人考えていると、声をかけられた。

「那奈」

「涼太君。なあに?」

「秘書の仕事どう?」

「頑張ってるわよ」

そう答えると、涼太君が笑う。

「ならいいんだ」

「でも……」

思わず言葉が漏れた。

「春樹さんは違うみたい」

涼太君の表情が変わる。

「どういうこと?」

私はカップを両手で包んだ。

「私を側に置きたいだけだって」

春樹さんが私を大切にしてくれていることは分かっている。

それどころか、十分すぎるくらい愛されている。

でも。
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