マッチングした相手は片想いの社長でした
私は愛されるだけの人になりたいわけじゃない。

仕事もしたい。

春樹さんの役に立ちたい。

涼太君は黙って私を見つめていた。

やがて、私の手を握る。

「那奈。一旦離れたら?」

「え?」

思ってもいなかった言葉だった。

「離れる?」

「このままじゃ那奈が潰れるよ」

その言葉が胸に刺さった。

私は何も答えられなかった。

デスクへ戻っても、仕事が手につかない。

――一旦、離れる。

春樹さんと?

視線を上げる。

春樹さんはいつものように仕事をしていた。

私の視線に気づいたのか、こちらを見る。

目が合った。

春樹さんが微笑んだ。

それだけで。私も自然に笑っていた。

――無理。

春樹さんと離れるなんて。

そんなこと、私にはできない。
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