マッチングした相手は片想いの社長でした
私は立ち上がった。

頭を整理したくて、非常口の階段へ向かう。

人気のない階段で一人になる。

「どうしたらいいの……?」

春樹さんの側にいたい。

でも仕事もしたい。

どちらかを選ぶなんて嫌だ。

「那奈」

声がして振り向く。

「どうしたんだ」

春樹さんだった。

追いかけてきてくれたんだ。

「春樹さん……」

「何かあった?」

私は迷った。

でも、ちゃんと言わなくちゃ。

「私、仕事をしたいの」

春樹さんの表情が曇った。

「俺が邪魔なのか」

「違う!」

反射的に否定していた。

「ううん。違うの」

春樹さんを見上げる。

「もっと側にいたい」

言った瞬間、涙が出そうになった。

「離れたいんじゃない。逆なの」
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