マッチングした相手は片想いの社長でした
「社長……」

酔っているせいだろうか。

目を逸らせない。

一年間ずっと好きだった人。

忘れようと思った人。

この人には婚約者がいる。

分かっているのに。

社長の腕の中が心地よくて、離れたくないと思ってしまう。

すると、私の身体がぐっと引き寄せられた。

社長の胸に頬が触れる。

抱き寄せられている。

頭が真っ白になった。

「これ以上は無理だ」

低い声が頭の上から落ちてくる。

「社長……」

「タクシー」

社長が片手を上げた。

すぐに一台のタクシーが停まる。

ドアが開き、社長が私を見る。

「ほら、乗って」

「はい……」

もっと一緒にいたい。

そう言えたらいいのに。
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