マッチングした相手は片想いの社長でした

第19話 ふたりの暮らし

春樹さんの車のトランクが、ゆっくりと開いた。

眩しい昼の光の下、そこに入っているのは、私が持ってきた段ボール箱が数個。

「段ボール、これだけ?」

春樹さんが少し不満そうに振り返った。

「うん。必要な物だけ持って来たから」

「そのまま引っ越せばいいのに」

やっぱり、そう言うと思った。

あの日、春樹さんから「一緒に暮らそう」と言われた。

嬉しかった。

好きな人と同じ家に帰って、同じ朝を迎える。

そんな生活を想像しただけで胸がいっぱいになった。

だけど、いきなり全部の荷物を運んでしまう勇気までは、まだなかった。

「そのうちね」

「慎重なんだな、那奈は」

そう言いながらも、春樹さんは嬉しそうに段ボールを抱えた。
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