マッチングした相手は片想いの社長でした
「そう。那奈と俺の物」

その言葉が妙にくすぐったかった。

――二人の物。

これまで一人で暮らしていた私には、縁のなかった響きだった。

連れて来られたのはショッピングモールだった。

食器売り場に入ると、色も形も違うお茶碗がずらりと並んでいる。

「あ、これ可愛い」

淡い色のお茶碗を手に取る。

隣には色違いのお茶碗があった。

「お揃いのお茶碗」

「箸もお揃いにしよう」

春樹さんが当然のように言う。

「お皿も二つ分だね」

一枚ではなく、二枚。

コップも二つ。

箸も二膳。

買い物かごの中に、少しずつ『二人』が増えていく。

こんなことで幸せになれるなんて知らなかった。

会社では社長と秘書。

でも今は、ただの恋人同士。
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