マッチングした相手は片想いの社長でした
「愛してる、那奈」

「……私も」

唇が重なる。

激しいキスじゃない。

ただ、互いの存在を確かめるような、優しいキスだった。

この時間がずっと続けばいい。

私は本気でそう思っていた。

数日後。

昼間の社長室。

私は春樹さんのデスクの横で資料を確認していた。

「水野、この資料もっと――」

「はい」

その時。コンコンとドアが叩かれた。

「どうぞ」

扉が開き、現れた人物を見て、春樹さんが少し驚いた顔をする。

「おふくろ」

「お邪魔するわよ」

春樹さんのお母様だった。

白いスーツを上品に着こなし、今日も華やかで美しい。

「お母様」

「こんにちは、那奈さん」

以前よりずっと柔らかな表情を向けてもらえるようになった。
< 195 / 295 >

この作品をシェア

pagetop