マッチングした相手は片想いの社長でした
けれど。――香織さん。

その名前だけが、なぜか頭の中に残った。

数日後。社内の掲示板に今年の人事異動が貼り出された。

「俺、転勤はない」

隣で涼太君がほっとした顔をする。

「よかったわね、涼太君」

「まあな」

同期として一緒に働いてきた涼太君が転勤にならなかったことは、私も素直に嬉しい。

すると涼太君が掲示板を見ながら言った。

「ところで、NY支社から転勤の人来るよ」

「え? 誰?」

「近藤香織さんって人」

心臓が跳ねた。

「……香織さん?」

聞き間違いじゃない。

あの日、お母様が話していた名前と同じ。

まさか。

いや、同姓同名かもしれない。

そう思おうとした。

でも、胸の奥に広がる嫌な予感は消えてくれなかった。
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