マッチングした相手は片想いの社長でした
そして、その日の午後。

廊下を歩いていると、一人の女性が案内板の前に立っていた。

黒髪のショートヘア。

紺色のスーツ。

落ち着いた雰囲気なのに、どこか人を惹きつける色気がある。

三十五歳くらいだろうか。

「どうしました?」

声をかけると、女性は私を見た。

「社長に会いたいのだけど」

「アポは取られてますか?」

私が尋ねると、女性はふっと笑った。

「知り合いよ」

その笑顔に、なぜか胸がざわつく。

「……お名前を伺えますか?」

「近藤香織よ」

一瞬、頭が真っ白になった。

この人が。

春樹さんの、元婚約者。

動揺を悟られないようにして、私は香織さんを社長室まで案内した。
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