マッチングした相手は片想いの社長でした
けれど香織さんは、「そうなの」と、ただ納得したように頷いたという。

「気になるんですか?」

涼太君が尋ねる。

「まあ、昔の好みでね」

「もしかして同期とか」

「そうね。しかも元婚約者」

「え……?」

さすがの涼太君も唖然としたそうだ。

香織さんはそんな彼を置いた。

「じゃあ外回り行ってくるわ」

「……行ってらっしゃい」

その話を聞いた時、私は少しだけ可笑しくなった。

香織さんにとって春樹さんとの過去は、もう隠すようなことではないのかもしれない。

そう思えた。

――この時までは。

その日の夜。

仕事が長引き、オフィスにはほとんど人が残っていなかった。

私が帰る準備をしていると、少し離れたデスクで香織さんがまだパソコンに向かっていた。
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