マッチングした相手は片想いの社長でした
それなのに、どうして私はこんなに気にしてしまうんだろう。

やがてエレベーターが一階に着いた。

三人でロビーへ出る。

「じゃあ私はここで」

香織さんがそう言った、その時だった。

「ママ!」

幼い声が響いた。

振り返る。

黒髪の小さな男の子が、嬉しそうにこちらへ駆けてきた。

五歳くらいだろうか。

香織さんの顔が、一瞬で母親のものに変わった。

「いい子にしてたわね、春太」

しゃがんで男の子を迎える。

私は微笑ましくその光景を見ていた。

でも。隣にいる春樹さんの様子がおかしい。

呆然としていた。

「……香織。その子は」

香織さんが春太君の肩を抱く。

「私の産んだ子よ。春太」

私も驚いた。

結婚していないと言っていたから、子供がいるなんて想像もしていなかった。
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