マッチングした相手は片想いの社長でした
「お帰りなさい」

私はキッチンから顔を出した。

今日は春樹さんが香織さんと春太君に会う日だと知っていた。

気にならなかったと言えば嘘になる。

「どうだった?」

「楽しかったよ」

「そう。よかったね」

笑ったつもりだった。

春樹さんが春太君との時間を楽しめたのなら、それでいい。

「那奈、ここに座って」

「うん」

二人でソファに座る。

春樹さんは少し考えてから私を見た。

「俺は春太を認知する」

「……自分の子供だと認めるのね」

「ああ。それが香織にもいいと思うんだ」

「そうね」

驚かなかった。

むしろ、春樹さんならそうすると思っていた。

春太君は何も悪くない。

父親に会えたことをあんなに喜んでいた。

その子から父親を奪うようなことだけはしたくなかった。
< 216 / 295 >

この作品をシェア

pagetop