マッチングした相手は片想いの社長でした
不意に春樹さんが私の腕を掴んだ。

「那奈」

「なに?」

そのまま強く抱きしめられる。

「いつか」

「うん」

「那奈に俺の子供を産んでほしい」

一瞬、息が止まった。

胸の奥が熱くなる。

春太君の存在を知ったばかりなのに。

それでも春樹さんは、私との未来を考えてくれている。

「うん。家族作ろうね」

「愛してる、那奈」

「私も」

唇が重なった。

不安が全部消えたわけじゃない。

それでも春樹さんが選んでくれている未来を信じたかった。

――翌日。

「あれ?」

昼間のオフィスで、香織さんが何かを探すようにキョロキョロしていた。

「どうしました?」

「ああ、出張の立替ってどうすればいいの?」
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