マッチングした相手は片想いの社長でした
「経理部で申請書を出せば大丈夫ですよ」

「ありがとう。親切ね」

「いえいえ、普通のことですから」

すると香織さんが私を見つめた。

「ねえ、お願いがあるんだけど」

「何でしょう」

少しの沈黙。

そして香織さんは、衝撃の言葉を発した。

「春樹を譲ってくれない?」

「……え?」

私は何も言えなかった。

「春太もすっかり懐いてるの」

「それは……」

心臓が嫌な音を立てた。

「親子三人で暮らしたいの」

何も言えない。

香織さんの言う事は、当たり前の事だ。

「ねえ、お願いよ」

昨日、春樹さんと交わした言葉が頭の中に蘇った。

『家族作ろうね』

でも――。春樹さんには、もう家族がいる。

血の繋がった子供がいる。
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