マッチングした相手は片想いの社長でした

第23話 忘れられない人

昼休みを終えたオフィスには、いつもの慌ただしさが戻っていた。

電話の音、キーボードを叩く音、資料をめくる音。

私はパソコンに向かいながらも、時折、社長室のほうへ視線を向けてしまう。

そこにいるのは――春樹さん。

そして今日は、その隣に香織さんがいた。

「社長、この企画ですが」

香織さんが資料を開きながら、春樹さんに何かを説明している。

「ああ」

春樹さんは資料に目を落とし、香織さんの話を聞いていた。

二人とも仕事のできる大人。

言葉を交わすテンポも自然で、時折、何かに気づいたように笑い合う。

その光景を見ていると、胸の奥が小さく痛んだ。

――嫌だな、私。

香織さんと春樹さんの間には、私には入り込めない時間がある。

それだけじゃない。
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