マッチングした相手は片想いの社長でした
「分かったわ」

香織は上着を羽織り、ゆっくりと立ち上がる。

そして背中を向けたまま言った。

「春太の認知も、もういいわ」

「どうして」

香織の肩がわずかに震えた。

「春太はあなたの子供じゃないわ」

春樹は言葉を失った。

「……何?」

「知らない人との子供よ」

香織は振り返らない。

その背中が、ひどく小さく見えた。

春樹は立ち上がると、後ろから香織を抱きしめた。

「香織はそんな女じゃない」

「そういう女よ」

「違う」

春樹には分かった。

香織は、自分を那奈のところへ帰そうとしている。

これ以上、自分と春太の存在で春樹を縛らないために。

「春太は俺の子供だ」

「春樹……」

「君を愛した証だ」
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