マッチングした相手は片想いの社長でした
できるだけ綺麗でいたい。

そんな女心を、この人はきっと分かっていない。

準備を終えて、二人で玄関を出た。

春樹さんが私のバッグまで当たり前のように持ってくれる。

車に乗り込み、高速道路へ。

窓の外を流れていく景色を眺めながら、私は旅館のパンフレットを開いた。

「いよいよね」

写真を見るだけで頬が緩む。

「温泉、久しぶりだな」

運転しながら春樹さんが言った。

「露天風呂に美味しい料理」

思わず声が弾む。

すると春樹さんが笑った。

「那奈は料理に目がないな」

「もうっ。あっ、星空も見える」

パンフレットには、夜の那須高原の写真が載っていた。

満天の星。

こんな景色を春樹さんと一緒に見られるのだと思うと、それだけで楽しみになる。
< 242 / 295 >

この作品をシェア

pagetop