マッチングした相手は片想いの社長でした
スープを一口飲む。

「美味しい」

「本当だ」

春樹さんも満足そうだ。

私はなんだかおかしくなって笑った。

「ふふふ、楽しいね」

「まだ途中だけどな」

そう。

まだ旅館にも着いていない。

でも、こういう寄り道まで楽しい。

好きな人との旅行って、目的地だけが特別なんじゃないんだ。

再び車を走らせ、私たちは那須へ向かった。

街並みが遠ざかり、次第に緑が濃くなっていく。

山間へ入ると空気まで違って見えた。

そして――。

「着いた」

目の前に現れた旅館を見て、思わず声が漏れる。

落ち着いた和の佇まいなのに、とても立派だ。

「へえ、豪華」

春樹さんまで感心している。

入口へ向かうと、着物姿の女将さんが私たちを迎えてくれた。
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