マッチングした相手は片想いの社長でした
「一ノ瀬様、お待ちしてました」

「お世話になります」

「お部屋こちらになります」

案内された部屋を見て、私は目を見開いた。

寝室と居間が続いた広々とした造り。

大きな窓の向こうには山々が広がり、専用の露天風呂まである。

「すごい素敵なお部屋」

思わず声を上げると、女将さんがにこやかに笑った。

「奥様に気に入って頂いて光栄です」

……え?

一瞬、言葉の意味が分からなかった。

「奥様って」

「あら、結婚はまだでした?」

顔が一気に熱くなる。

慌てて否定しようとした、その時だった。

「もうすぐ結婚しますよ」

隣から聞こえた春樹さんの声に、今度こそ固まった。

女将さんは嬉しそうに微笑む。

「婚約中なんですね。お熱い」
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