マッチングした相手は片想いの社長でした
「どう? 那奈」

振り返ると、まだ黒いシャツを着た春樹さんが立っている。

「うん、いいお湯加減」

「俺も入ろう」

そう言って、春樹さんがシャツを脱ぎ始める。

やがて春樹さんも湯に入り、私の隣へやってきた。

「ああ、贅沢だ」

「本当だね」

こんな素敵な露天風呂を二人だけで楽しめるなんて。

すると春樹さんが私を見た。

「那奈が側にいるからな」

また、そういうことをさらっと言う。

見つめ返すと、春樹さんの目が優しく細められた。

「来年も来よう」

胸が震えた。

「春樹さん……」

「再来年も、その先もずっと」

来年。

再来年。

その先も。

その言葉の中には、当たり前のように私がいる。

私はずっと、春樹さんを遠い人だと思っていた。
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