マッチングした相手は片想いの社長でした
恥ずかしくて社長の顔を見られない。

きっと「そんなつもりじゃない」と笑われる。

そう思っていた。だけど。

「そう思ってくれて構わない」

私は顔を上げた。

社長は私をまっすぐ見ている。

胸が大きく鳴った。

「そんなのダメです」

「どうして?」

「社長には婚約者がいます」

「婚約者?」

社長が怪訝そうな顔をする。

その反応に一瞬戸惑った。

でも、それ以上聞く勇気はなかった。

「失礼します」

パンフレットを抱え直し、倉庫を出る。

追いかけてくる足音はなかった。

「ありがとう、水野さん」

「いいえ」

女性社員にパンフレットを渡して、自分の席へ戻る。

――これでいいんだ。
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