マッチングした相手は片想いの社長でした
「ありがとう」

次の瞬間、長い腕が伸びてきて、私はその胸の中に抱き込まれた。

「わっ……春樹さん」

濃紺の浴衣に頬が触れる。

会社では決して見ることのできない姿。

私だけが知っている春樹さん。

そう思うだけで胸がいっぱいになる。

春樹さんが私を見つめ、ゆっくり顔を近づけてきた。

私も自然に目を閉じかけた――そのとき。

「お食事のご用意ができました」

襖の向こうから女将さんの声がした。

二人同時に動きが止まる。

目が合った。

春樹さんが珍しく気まずそうな顔をしている。

きっと私も同じ顔をしていた。

おかしくなって、二人で小さく笑った。

女将さんに案内されて廊下を歩いていく。

途中、大きな窓の向こうに美しい日本庭園が広がっていた。
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