マッチングした相手は片想いの社長でした
それはさすがに大げさだと思うけれど、一ノ瀬グループの代表取締役社長の結婚だ。

取引先も多いだろうし、春樹さんのお父様の代から付き合いのある人だっている。

私の頭の中に、知らない人で埋め尽くされた巨大な披露宴会場が浮かんだ。

……なんか違う。

私は自分の薬指を見つめた。

「私、勝手に二人だけだと思ってた」

「二人だけの結婚式?」

「うん。二人だけの世界」

春樹さんと私。

誰かに見せるためじゃなくて、二人でこれから一緒に生きていくことを誓う。

そんな結婚式を、いつの間にか想像していた。

涼太君がふっと笑う。

「なんか那奈らしい」

「そうかな?」

「うん」

私も笑った。

「そこも話し合いだね」

「社長なら分かってくれるよ」
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