マッチングした相手は片想いの社長でした
「手抜きはしませんよ」

「あはは」

父が笑った。

私は信じられなかった。

私だって、父が仕事中に声を出して笑うところなんて滅多に見たことがない。

「お父さん、笑った」

思わず呟いてしまった。

私に気づいた父は、すぐにいつもの仏頂面に戻る。

「仕事の途中だろ。帰れ」

「はい。また来ます」

「おう」

――おう?

私は耳を疑った。

この前は「帰ってくれ」だったのに。

今日は「おう」だった。

春樹さんと顔を見合わせる。

ほんの少しだけ。

本当にほんの少しだけだけれど、父の中で何かが変わったような気がした。

その夜、春樹さんの部屋で私は何度もそのことを話した。

「お父さん、嬉しそうだった」

「俺も嬉しかったよ」
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