マッチングした相手は片想いの社長でした
【俺も着きました】

「え?」

もういるんだ。私は周りを見渡した。

何人もの人が行き交っている。

誰?どの人?

その時、少し離れたところに周囲を探している男性が見えた。

黒髪。長身。スーツ姿。見慣れた横顔。

嘘……。

私の心臓が止まりそうになった。

男性がこちらを見る。目が合った。

「え? もしかして……」

社長も驚いた顔をしている。

「水野、君が?」

何も言えなかった。

社長も何も言わない。

ただ二人で見つめ合った。

まさか。35歳、会社経営。

あの人が――一ノ瀬社長?

「あ……あの……」

恥ずかしさと混乱で逃げ出したくなった。

ところが、社長が私の手を握った。
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