マッチングした相手は片想いの社長でした
「行かないでくれ」

「社長……」

いつもの社長とは違う。

余裕のある表情じゃない。

私を引き止める手にも、声にも、必死さがあった。

「今夜一緒にいて欲しいんだ」

「え……」

「な、お願いだ」

どうして?

昼間、婚約者がいると言った私に何も説明しなかったのに。

どうしてそんな顔をするの?

混乱している私の額に、柔らかなものが触れた。

社長の唇だった。

額にキスされた。

顔が一気に熱くなる。

「さあ、行こう」

社長に促され、私は隣を歩き始めた。

そして着いた場所を見て、足が止まる。

ホテルだった。

「あの……」

「一緒に来て欲しい」

「だって、ホテルって……」

意味が分からないわけじゃない。
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