マッチングした相手は片想いの社長でした
お父さんの腕につかまり、一歩ずつ歩いた。

小さい頃、この手に何度もつかまった。

転んで泣いたとき。

学校へ行きたくないとぐずったとき。

お母さんがいなくなって寂しかった夜も、お父さんは不器用なまま私のそばにいてくれた。

――那奈に我慢させないでやってくれ。

あの日のお父さんの言葉を思い出す。

涙が滲んだ。

春樹さんの前まで来ると、お父さんが私の手を取った。

「春樹君、頼む」

「任せて下さい」

春樹さんが私の手を受け取る。

その瞬間、お父さんの手から春樹さんの手へ、私の人生がそっと託されたような気がした。

 向かい合う。

 大好きな人が目の前にいる。

「病める時も健やかなる時も、愛し合うと誓いますか?」
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