マッチングした相手は片想いの社長でした
だからこそ戸惑った。

社長が私を見つめる。

「那奈と二人でいたいんだ」

「え……」

名前。初めて社長に「那奈」と呼ばれた。

「何度かメッセージくれただろ」

「……はい」

やっぱり、あのプロフィールは社長だったんだ。

「那奈にいて欲しいんだ」

私は社長を見つめた。

この人を忘れるためにマッチングアプリを始めた。

新しい人と出会えば忘れられると思った。

なのに、私が気になって何度もメッセージを送った相手まで、この人だった。

「……うん」

私は頷いた。二人でホテルへ入る。

隣にはずっと好きだった人がいる。

胸の鼓動が止まらない。

そんな私に、社長が何でもないことのように言った。

「ダブルの部屋取ったから」

私は思わず社長を見上げた。

――今夜、どうなるの?
< 30 / 110 >

この作品をシェア

pagetop