マッチングした相手は片想いの社長でした
「嫌がることはしないから」

「はい」

その言葉に、不思議なくらい安心した。

やがてエレベーターが止まり、春樹さんと一緒に廊下を歩く。

部屋の前に着くと、春樹さんがカードキーをかざした。

「さあ、入って」

促されるまま中へ入って、私は思わず目を見開いた。

「広い部屋……」

大きな窓の向こうには、街の灯りが広がっている。

こんな部屋に春樹さんと二人きり。

現実なのに、現実じゃないみたいだった。

「くつろいで」

そう言いながら、春樹さんはワインセラーへ向かう。

「ワインでいい?」

「はい」

「フルボディでもいい?」

思わず春樹さんの顔を見た。

「……酔いたい気分なんですか?」

「何となくね」

笑ってはいる。
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