マッチングした相手は片想いの社長でした
春樹さんが何か言おうとした。

「那奈、俺……」

その続きを聞くのが怖くて、私は背中を向けた。

「一晩だけだって分かってます」

自分で言った言葉なのに、胸を刺した。

これでいい。

最初から分かっていたことだから。

「那奈」

「寂しかったんですよね」

きっと昨日の春樹さんには、誰かが必要だった。

たまたま、それが私だっただけ。

そう思えばいい。

そう思わなければ、期待してしまう。

「私、分かってますから……」

声が震えた。

だめ。泣いたら困らせる。

それなのに涙が滲んでくる。

春樹さんの前で泣きたくなんてないのに。

「泣くな」

優しい声。

振り向いた瞬間、春樹さんの手が私の頬に触れた。
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