マッチングした相手は片想いの社長でした
そして唇が重なる。

驚いて目を見開いた。

「春樹さん……」

どうして?

もう朝なのに。

昨日は終わったはずなのに。

春樹さんは私をまっすぐ見つめていた。

会社で見る冷静な社長の顔じゃない。

もっと熱を帯びた、知らない春樹さんの顔。

逃げられないくらい真っ直ぐな視線だった。

「俺は君を放さない」

一瞬、意味が分からなかった。

「……え?」

春樹さんの指が、私の涙を拭う。

「一晩だけなんて、誰が言った?」

「でも……」

「俺は昨日、寂しかったから君を選んだんじゃない」

心臓が跳ねた。

春樹さんが私の頬を包む。

「那奈だったから、一緒にいたかったんだ」

息が止まりそうだった。

< 39 / 80 >

この作品をシェア

pagetop