マッチングした相手は片想いの社長でした
「わざと?」

「ああ」

春樹さんが少し照れたように笑う。

「那奈ばっかり見ちゃうから」

一瞬、何を言われたのか分からなかった。

「春樹さん……」

「那奈ばっかり考えてる」

胸が苦しいほど高鳴った。

そんなこと言わないで。

期待してしまう。

私だって同じ。

会社にいても、家に帰っても、ずっと春樹さんのことばかり考えている。

春樹さんの手が私の髪に触れた。

私はその手に頬を寄せる。

今夜だけ。

せめて今夜だけは、この人を独り占めしてもいいよね。

やがて部屋の明かりが落ち、春樹さんの腕に包まれる。

言葉よりも近い距離で伝わってくる温もりに、私は目を閉じた。
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