マッチングした相手は片想いの社長でした
スマートフォンを取り出そうとした、そのとき。

「那奈」

聞き慣れた声に振り返る。

「春樹さん」

黒のスーツを着た春樹さんが、こちらへ歩いてくる。

会社で見るスーツ姿とは少し違う。

ただ歩いてくるだけなのに、どうしてこんなに目立つんだろう。

思わず見惚れていると、春樹さんが私の前で足を止めた。

その視線がゆっくりと私に向けられる。

「うん、綺麗だ」

たった一言で、顔が熱くなった。

「お、おかしくないですか?」

「そんなことないよ」

春樹さんが優しく笑う。

「さあ、行こう」

差し出された腕を見つめる。

そこに自分の腕を絡めるなんて、ものすごく勇気がいる。

でも春樹さんは当然のように待っている。

私はそっと腕を組んだ。
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