マッチングした相手は片想いの社長でした
近い。肩が触れそうな距離に春樹さんがいる。

この前までは、会社で遠くから見つめるだけだった人なのに。

その人の腕につかまり、私はホテルの中へ入った。

会場へ足を踏み入れた瞬間、思わず立ち止まりそうになった。

「すごい……こんな世界、初めて」

高い天井から下がる大きなシャンデリア。

美しいドレス。

グラスを片手に談笑する人々。

どこを見ても映画の中みたいだ。

「それは連れて来た甲斐があったよ」

春樹さんが笑う。

でも、私が珍しそうに会場を見回していられたのは、ほんの少しの間だけだった。

「あれ? 一ノ瀬社長、女性連れてる」

近くにいた男性の声が聞こえる。

やっぱり目立つんだ。

春樹さんが女性を連れていること自体が珍しいらしい。
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