マッチングした相手は片想いの社長でした
 グラスに注がれた淡い金色のシャンパン。

「綺麗ね」

 私が呟くと、春樹さんはシャンパンではなく私を見ていた。

「那奈の方が綺麗だよ」

「……っ」

どうしてこの人は、こんなことを平然と言えるんだろう。

「乾杯」

グラスが小さな音を立てる。

けれど口をつけようとした瞬間、自分の手が震えていることに気づいた。

怖い。春樹さんが嫌だからじゃない。

私に春樹さんの同じ未来が歩けるの?

春樹さんのお母様は、私を犬猿していた。

きっと私が春樹さんに不釣り合いだから。

不意に肩を抱かれた。

「震えてるの? 可愛いな」

からかうような声なのに、抱き寄せる腕は優しい。

「何だか怖くて……」

「何が怖いの?」

答えに迷った。
< 82 / 295 >

この作品をシェア

pagetop