マッチングした相手は片想いの社長でした
それでも、ここまで来たら誤魔化したくなかった。

「私……あなたを支えられるかしら」

「那奈」

春樹さんが私の手を取る。

大きな手が私の指を包んだ。

「俺はいつも那奈に支えられてる」

「春樹さん、私……」

「ただ俺の隣にいてくれ」

胸の奥がいっぱいになる。

「うん」

この人の隣にいていい。

その言葉だけで、ずっと抱えていた不安が少しずつ溶けていく気がした。

「一緒にお風呂に入ろう」

「……うん」

恥ずかしくて仕方がないのに、もう逃げたいとは思わなかった。

浴室には大きな湯船があり、たっぷりのお湯が揺れていた。

先に湯船に入っても、心臓はちっとも落ち着かない。

少し離れたところでは、春樹さんがシャワーを浴びている。
< 83 / 295 >

この作品をシェア

pagetop