マッチングした相手は片想いの社長でした
今までなら、それだけで幸せだった。

むしろずっとこの時間が続いてほしいと思ったかもしれない。

でも今日は違う。

横を見る。

すぐそこに社長がいる。

好きな人が、手を伸ばせば届きそうなところにいる。

でも――この人には婚約者がいる。

そう思った途端、胸が苦しくなった。

「ん?」

社長が私の方を見る。

しまった。見ていたことに気づかれた。

「いいえ」

慌てて資料へ視線を戻す。

――切ない。この人を忘れたい。

だから昨日、知らない男性にメッセージまで送った。

それなのに。

こんなに近くにいたら、忘れられるわけないじゃない。

私は小さく息を吐き、もう一度仕事に集中しようとペンを握った。
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