マッチングした相手は片想いの社長でした
秘書なんだから、春樹さんの側にいるのは当たり前なのに。

それでも二人が並んでいる姿を見ると、切なくなる。

美里さんは春樹さんの隣に立っていても、何の違和感もなかった。

家柄も、容姿も、仕事の能力も。

きっと周りから見れば、お似合いなのだろう。

その後、休憩で席を立った時だった。

「那奈さん」

「はい、何か」

突然美里さんに名前を呼ばれて、私は我に返った。

「来週の会議資料、手伝って貰えますか?」

「ああ、来たばかりですもんね」

仕事ができるとは言え、来たばかりの会社の会議資料を作るのは、結構大変だろう。

私の親切心からだった。

「参考資料はメールで送ります」

「あと、確認しておきますね」

私は素直に引き受けた。
< 96 / 295 >

この作品をシェア

pagetop