転生悪役令嬢が名探偵ですわ!?

11話 悪役令嬢、問い詰めますわ!?

 その日の午後。

 アリアは皇太子の前に立っていた。

「殿下」

「なんだ」

「一つ、伺いたいことがありますわ」

「言ってみろ」

 エドワードは相変わらず冷静だった。

 アリアは一枚の紙を差し出す。

「このインクに見覚えは?」

 皇太子の視線が紙に落ちる。

 その瞬間。

 ほんのわずか。

 彼の眉が動いた。

「…………」

「ご存じですわね?」

「……ああ」

 皇太子は答えた。

「私が使っているものだ」

「では、この紙は殿下が?」

「違う」

 即答だった。

「この文字を書いた覚えはない」

「本当に?」

「ああ」

 アリアはじっと彼を見る。

「では、なぜリリアさんはそのインクを使った紙を持っていたのでしょう?」

「知らない」

「リリアさん、泣いておられたみたいですね?」

 沈黙。

「誰から聞いた?」

「証言人Aですわ!」

「……そうか」

 皇太子は目を逸らした。

「確かに、喧嘩はよくする

婚約者ならよくあることだ。

だが私は、彼女を殺してなどいない」

皇太子が初めて強い口調になった。

「…………」

 アリアは目を細めた。

「では、事件当時はどこに?」

「王宮だ」

「ずっと?」

「……ああ」

「十時頃も?」

「…………」

 やがて皇太子は、小さく息を吐いた。

「……学園に戻っていた」

「!」

「だが、旧図書塔には行っていない」

「では、どこへ?」

「…………」

 また沈黙。

「殿下」

「リリアに会った」

 アリアの目が見開かれる。

「……何ですって?」

「事件当日。私はリリアと会っていた」

 心臓が大きく鳴った。

「何時ですの?」

「七時頃だ」

死亡推定時刻の前だ。

「なぜ?」

「彼女から呼び出された」

 アリアは息を呑む。

「何のために?」

「それは……」

 皇太子は目を伏せた。

「彼女から相談を受けた」

「相談?」

「最近、誰かに見られている気がする、と」

「…………」

 アリアの顔から笑みが消えた。

「監視されていた?」

「ああ」

「それで、殿下は?」

「詳しく調べると約束して

その日は責務があるから王宮へ帰った」

「では、その証明は?」
 
皇太子は応えた

「執務官と侍従が証言できる」
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